イベント
都内の私立高校1年生30名に、気候変動&再エネの体験型授業を実施!!
こんにちは!新入社員の園木です。
突然ですが、みなさんは学生時代にどんな校外学習をしたか覚えていらっしゃいますか?
修学旅行や林間学校はもちろんのこと、歴史的建造物を見て回ったり、科学館や博物館、美術館を訪れたり、工場を見学したり、伝統工芸の職人体験をしたり、職業体験をしたり…
教室を友達と一緒に飛び出して実際の体験の中で学ぶことは、新鮮さがあって面白く、そこで見聞したことや経験したことは様々な形で今の自分の役に立っていると感じる人もいるのではないでしょうか。
そんな校外学習も、時代と共に新しいものがどんどん誕生しているようです。
■都内私立高校の生徒30名にワークショップを実施
株式会社RIdilover(以下、リディラバ)が取り組んでいる『SDGs/社会問題スタディツアー』は、新しい校外学習の取り組みの一つです。社会問題の解決を目指す現場に実際に足を運び、問題の当事者や解決のトップランナーと直接関わりながら、自分にできるアクションを本気で考えてもらうためのスタディツアーとして、様々な中高学校の校外学習として取り入れられています。全国にある約60の団体・企業がツアーの受け入れ先として生徒たちに学びを提供しています。
https://ridilover.jp/study-tour/
このツアーでは、あらゆる分野の社会の課題を扱っていますが、気候変動や再生可能エネルギーといったトピックも含まれています。
そこで、私たち株式会社UPDATER(みんな電力)は、『気候変動の今/再生可能エネルギーにできることと、その課題点』というテーマで、ツアー受け入れ先を務めさせていただき、都内私立高校の生徒約30名に対して、講義とワークショップを実施しました (2021年11月12日)。
当日はパタゴニア・インターナショナル・インク日本支社様(以下、パタゴニア)と市民エネルギーちば株式会社様(以下、市民エネルギーちば)からもご協力もいただき、電力の生産者と需要家という立場からも再生可能エネルギーやSDGsへのお取り組みや想いをお話しいただきました。
左から、戸嶋様(株式会社Ridilover)、園木(弊社社員)、宮下様(市民エネルギーちば株式会社)、新郷(弊社社員)
■今、SDGs×校外学習を行う意義
脱炭素社会へのシフトが叫ばれている今日、高校生が気候変動の実情の大枠を理解し、再生可能エネルギーの導入とその課題について学ぶことは、現在の社会及び、その中での自分の立ち位置を理解することを助け、今後の進路選択における重要な情報を手に入れることにも繋がります。
しかし、テーマが難解かつ複雑であり、高校生が独学で学ぼうとするのには、なかなかハードルが高いというのも実情です。加えて、そもそも自分事としては捉えにくいグローバルイシューへの興味関心をどのように喚起し、育てていけるか、という課題もあります。
リディラバのプログラムするこのツアーは、「事前学習」⇒「現場体験」⇒「ワークショップ」の流れを取っています。現場だからこその温度感を五感で感じ、単純化できない社会課題の解決策に多角的視点から向き合う経験は、「自分にも何かできるかもしれない」という、社会課題の自分事化を促す作りになっています。
私たちは、登壇者を身近に感じやすい20代の新入社員(園木/新郷)にし、講義そのものもワークショップ形式にすることで、少しでもわかりやすく、伝わりやすい学びとなるような設計を意識したスタディツアーを行いました。
\新卒2人で会場へ移動中♪ 園木(左) 新郷(右)/
■当日の様子
当日はわきあいあいとした雰囲気の中でプログラムは進行し、生徒たちはまず、『気候変動とはなにか?再生可能エネルギーとはなにか?』を学びました。例えば、2100年の天気予報を見ることで、気候変動が自分たちの生活にどんな課題として降りかかってきているのかを知り、天候が変わることで紅葉や桜の開花といった季節のイベントがどんな影響を受けるのかを学びました。
再生可能エネルギーについては、どのような発電の方法があるのかを学び、普段意識せずに使っているコンセントの向こう側にはどんな発電所があるのかに意識を向けました。そして、気候変動に対するエネルギー分野の可能性を学び、その導入における課題点や取り組みなどを広く学びました。
2100年 未来の天気予報 (制作:環境省)を紹介
https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/2100weather/
なんですべてを太陽光発電や風力発電でまかなえないのか?という疑問に対して、
「破局の危機で彼女に連絡したくてもスマホの充電がないって一大事に、
『夜だし無風なので発電はできません』
って言われたら困るでしょ?」という例えは ”ややウケ”。
また、パタゴニアの中西様、市民エネルギーちばの宮下様のお二人から、電気をつくる立場、つかう立場の企業として、どのように気候変動や再生可能エネルギーに向き合っているのか、その他にどのような社会貢献の活動を行っているのかをお話しいただきました。
中西様からは、パタゴニアが「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」というコンセプトで、気候変動を始めとした社会課題に対し、一つの企業がどんな角度からアプローチできるのかを詳しくお話しいただきました。電気の買い先を選ぶことに加え、アパレルという分野からのアプローチ、自治体や大学生たちと協働したプロジェクトなど、数多くの取り組みをご紹介いただき、「今、企業が動かなくてはいけないのだ」というメッセージが大変印象的でした。
中古品販売を実施したときの様子を聞く
宮下様からは、農地の上で太陽光発電を行い、農業と発電事業を両立するモデルである「ソーラーシェアリング」のお話をお聞きし、耕作放棄地を使った有機農業の実施、炭素貯留などの取り組みをご紹介いただきました。また、パネルオーナー制の実施、発電した電気の非常電源としての活用など、市民や地域に根差したお話もいただきました。「市民」という立場は、生徒たちにも共感してイメージしやすいものであり、逆に発電所という立場のお話を聞く機会はなかなかないため、生徒たちにとっても新しく刺激的な内容だったのではないかと思います。
ソーラーシェアリングについて学ぶ
後半のワークショップでは、「自分の好きなもの、好きなこと」が気候変動にどんな影響を受けるのかを考え、どんな方法ならその問題を解決できるのかを考えました。
陸上部やサッカー部の部活動、スノーボードやハイキング、好きなYoutuberの配信、お気に入りのスマホゲームなどなど、自分たちが日常の中で大切にしているものが気候変動によってどんな影響を受けるのかを考えることは、生徒たちにとって新鮮な体験であり、新たな視点を持つきっかけになったようです。
「自分の好きなもの」が気候変動にどんな影響を受けるかを考えるワーク
■サンクスレターをもらいました!!
ツアーの実施後に行われた事後ワークショップでは、気候変動と再生可能エネルギーの導入について、2030年の理想状態とその実現のための課題・解決策を、生徒たちが自らの目線で考え、まとめました。嬉しいことに、その際にたくさんのサンクスレターをいただいたので、いくつか抜粋してご紹介させていただきます。
「SDGsについては以前から関心がありました。しかし、調べたり考えたりする時間がとれずにいましたが、今回のような機会をいただき、じっくり考えることができました。」
「この講演やワークショップを通じて普段まったく気にしていないことが自分の身近な問題にもつながっていることを知り、それについて考える良いきっかけとなりました。」
「非常に頭に入ってきやすい内容だったので、SDGsについて深く考えることができました。今後、身近なことでSDGSに貢献できることがあればどんどん挑戦していこうと思います。」
「自分は将来なりたいものがあり、それに近いことが聞けるかなと思ってこのツアーに参加しました。いろいろと現状について知ることができ、自分の未来や地球を守るための未来について考えることができました。」
「今までは再生可能エネルギーについて他人事として考えていましたが、もっと自分事にして、自分にできることを探し、行っていければと思えるようになりました。自分で電気を買うときは環境に良いかどうかという視点もふまえて選びたいです。」
「“コンセントの向こうには何があるのか”という言葉が印象に残りました。身の回りのものも環境に良いものに変えていきたいです。」
「私は今まで、SDGsが抱える問題は遠い国の問題だと思っていたのですが、今回のお話を聞いて、私たちが暮らしている日本もそれらの問題にかかわっていることを学びました。また、日本でも世界でも私たちと同じくらいの年齢の人たちが環境問題解決のためにいろいろな取り組みをしていることを知って、自分たちも積極的に考え、行動していくことの必要性を感じました。」
「私は自然と触れ合うのが大好きなので、今回のお話を聞き、改めて危機感を感じました。(中略)私は自然と共に生活をするような部活に所属しています。これから部員みんなで話し合って、輪を広げていけたらと思っています。」
「他人事とせず、沢山の物事を先入観なく見て自分が何を成せるのか考えて行動することが大切なんですね。」
「家で家族にも話して、どんな発電の電力を買えるのか調べてみようと思いました。このままいくと、今のような暮らしができなくなることを考えて生活していきます。」
「再生可能エネルギーの普及に関係している人たちがこんなに多くの解決策を考えていることを初めて知りました。私も大人になったら環境問題について携わってみたいと思うきっかけができました。」
■最後に
ツアー当日、高校生たちの前に立ったとき、彼らの姿に過去の自分がふと重なりました。
思い返せば、筆者も気候変動に関心を持ったのは高校生の時でした。大好きな存在である自然や動物といった存在が、人間の経済活動によって危機に立たされているということを知ったとき、初めてこの課題が自分事化し、ストンと落ちていった瞬間を覚えています。それ以来、意識的に情報を集め、自身でアクションを起こすようになり、こうして今度は「伝える側」になったことを考えると、感慨深いものがあります。
一緒に登壇をした同期の新郷も、イベントを以下のように振り返っています。
自身の高校時代を思い返してみると、修学旅行のような授業外での学びの方が圧倒的に強く印象に残っていて、今回お手伝いさせていただいたツアーはそういう意味でとても大きな責任を感じていました。
自分の中で強烈に記憶に残っている経験や話を思い返すと、そのことが自分の感情と深くリンクしていると感じます。そのためツアーでは、いかに気候変動問題に興味を持ってもらえるか、どうやったら自分ごととして捉えてもらえるかに腐心しました。その結果、みんな電力だけでなく、発電事業者の市民エネルギーちば様、需要家のパタゴニア様にもご協力いただく形で企画しました。
短い時間の中で駆け足のツアーにはなってしまいましたが、今回のツアーをきっかけに、少しでも自分ごととして考えるきっかけになった参加者がいたらいいなと願っています。みんな電力として、今後もこうした取り組みを積極的に広げていきたいです。
市民エネルギーちば様、パタゴニア様、リディラバ様はじめ、ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。(新郷)
社会課題というものは、どうしてもネガティブで難解なイメージが先行し、当事者にならなければ、なかなか主体的に考えて行動を起こすことは難しいものだと思います。
しかし、誰しもが社会を構成する一員です。必ず、何かの形で社会課題に関わっているものです。あとはその関わっている点に “どうやって” 気がつき、自分事にする経験ができるか、その瞬間がどのように発生するのかが非常に大切なのではないか思います。
電力や、その他の事業で私たちが大切にしている『顔の見える』というコンセプトもまた、まさにこの「自分事化する瞬間」にも大きく寄与しているのではと思います。
毎日の「消費する」という行動を、どんどん透明化し、面白いものにしていくことで、私たちはその自分事化する瞬間を生み出すことに、挑戦し続けていきたいと考えています。
以上、イベントレポートでした!
最後までお読みいただきありがとうございました。
株式会社UPDATER(みんな電力)
パワーイノベーション部
園木豪流